宅トレ

自宅トレーニングの始め方|器具なしで続く初心者ガイド

明るいリビングで器具を使わず自宅トレーニングをする女性
写真: Shixart1985 / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)

自宅トレーニングでつまずく原因は、たいてい種目選びではありません。多くの人は、最初から完璧なメニューを組もうとして自滅します。器具をそろえ、部位ごとに分け、週6日のスケジュールを引いて、3日でやめる。よく見かける失敗です。逆に、器具なしで2種目だけ決めて、明日も無理なく繰り返せるくらい軽くしておく。地味ですが、これが結局いちばん続きます。

宅トレ全体を見渡したいなら、先に宅トレ完全ガイドを読んでおくと話が早いです。

自宅トレーニングは何から始めるか

まず「2種目だけ」に絞る

初心者がやりがちな失敗は、最初から欲張ることです。下半身、上半身、体幹、有酸素。全部を一度にやろうとすると、準備だけで疲れて続きません。

おすすめは、スクワットとプランクの2種目から。下半身には体の大きな筋肉が集まっていて、ここを動かすと少ない種目で効率よく全身に効きます。プランクは体幹を支える基礎で、道具も場所もいりません。この2つを各1セットやるだけなら、3分で終わります。物足りないくらいでやめておくと、翌日もまたやる気になります。

始める前に決めておく3つ

種目より先に、続けるための土台を決めておくと楽です。

  • やる場所: リビングのこのスペース、と1か所に固定する。毎回どこでやるか考えると、それだけで面倒になってサボります
  • やる時間の合図: 「朝のコーヒーの前」「お風呂の前」のように、すでにやっている行動にくっつける。時計の時刻より、行動を合図にしたほうが生活に溶け込みます
  • 記録のしかた: カレンダーに丸をつけるだけでいい。やった事実が見えると、連続を切らしたくなくて続きます

何から動かしていいか迷う段階の人は、運動不足、何から始めるも合わせて読むと、最初の一歩のハードルがさらに下がります。

器具なしでできる部位別の基本種目

道具はいりません。マットがあると膝や背中が痛くなりにくいですが、カーペットやバスタオルでも代用できます。下の5種目で全身をひと通りカバーできます。

器具を使わない自宅トレーニングの基本種目、自重スクワットのイラスト

写真: Everkinetic / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

下半身:スクワット

自宅トレーニングの中心はスクワットです。最初は10回から。足を肩幅に開き、椅子に座るイメージでお尻を後ろに引きながら腰を落とします。膝がつま先より大きく前に出ないように。きついうちは、後ろに椅子を置いて軽く触れる位置まで下ろすと安心です。

体幹:プランク

プランクは肘とつま先で体を一直線に支える種目です。まず20秒。お尻が上がったり腰が落ちたりしないよう、横から見て体が板のようにまっすぐになる位置を保ちます。20秒がきつければ膝をついてもかまいません。

自宅でヨガマットの上でプランクをして体幹を鍛える人

写真: Shixart1985 / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)

上半身:腕立て伏せ

普通の腕立てがきついなら、無理に正規フォームにこだわらなくていいです。膝をついた腕立てなら負荷が下がって回数をこなせます。それでもきつい人は、壁に手をついて押し返す壁腕立てから。立ったままできるので、運動が久しぶりでも安全に始められます。

腕立て伏せのフォームを示した自宅トレーニング向けのイラスト

写真: Everkinetic / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

お尻と背中:ヒップリフト

あおむけで膝を立て、お尻を持ち上げてキープするヒップリフトは、デスクワークで弱りがちなお尻と背中を起こす種目です。10回を目安に、上げきったところで1〜2秒止めると効きます。腰を反らせすぎないよう、お腹に軽く力を入れたまま動かします。

ヒップリフト(グルートブリッジ)のフォームを示した自宅トレーニング向けのイラスト

写真: Marianne Gilbak / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

有酸素:その場足踏み

最後に有酸素を少し。その場足踏みなら場所も道具もいりません。テレビを見ながらももを少し高く上げて2〜3分。心拍が上がってくれば効いている証拠です。曜日ごとの組み方まで知りたい人は宅トレメニューの部位別プランに回数つきでまとめてあります。

フォームで気をつけたいこと

回数より「効いている感覚」を優先する

初心者ほど回数の達成にこだわりがちですが、雑に20回やるより、丁寧に10回やったほうが体は変わります。スクワットなら太もも、ヒップリフトならお尻、というように、狙った場所に効いている感覚を確かめながら動かしてください。感覚が分からないうちは、動作をゆっくりにすると効いている場所がつかみやすくなります。

呼吸を止めない

力を入れる瞬間に息を止めてしまう人が多いです。プランクやスクワットで踏ん張るとき、つい呼吸が止まると血圧が一気に上がります。力を出すときに息を吐く、と決めておくと自然に呼吸が続きます。

痛みが出たら下げる

筋肉が張る感覚は問題ありませんが、関節がズキッと痛むのは負荷が高すぎるサインです。腕立てなら壁腕立てへ、スクワットなら浅めへと、迷わず一段下げてください。無理して痛みを我慢すると、結局休むことになって続きません。

週の組み方と頻度

筋トレは週2〜3回でいい

毎日やる必要はありません。厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」で、成人に対して筋力トレーニングを週2〜3日行うことを勧めています(健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023/厚生労働省)。同じ部位を続けて鍛えると回復が間に合わないので、間に1日空けるくらいがちょうどいいです。

WHOも成人に対し、週150分以上の中強度の有酸素活動に加えて、週2日以上の筋力トレーニングを推奨しています(Physical activity/WHO)。公的なガイドラインがそろって「週2回前後」を示していると考えると、毎日やらなければという思い込みから自由になれます。

1週間のサンプル

最初の数週間は、こんな配分で十分です。

  • : スクワット10回+プランク20秒(×2セット)
  • : 腕立て+ヒップリフト各10回(×2セット)
  • : 全身を軽く1周+その場足踏み3分
  • それ以外の日: 休むか、寝る前のストレッチだけ

きっちり守らなくていいです。週2回どこかでできれば前進、と考えると気が楽になります。

有酸素はどこに入れるか

体を温めてから筋トレ、最後にその場足踏みで心拍を上げる、という流れが動きやすいです。厚生労働省の「アクティブガイド」は、まず今より10分多く動く「+10」から始めることを国民向けの第一歩として勧めています(アクティブガイド/e-ヘルスネット)。メタ解析では、この+10で死亡リスクが約2.8%、生活習慣病の発症が約3.6%下がる可能性が示されています。たった10分でも、動かないよりはっきり前に進みます。

強度の上げ方(負荷の付け方)

物足りなくなったら回数を増やす前にここを変える

数週間続けて楽になってきたら、強度を上げどきです。順番があります。

  1. 回数を増やす: 10回が楽なら12回、15回へ
  2. 動作をゆっくりにする: 下ろすのに3秒かける。同じ回数でも負荷が上がります
  3. 片足・片手にする: スクワットなら片足、腕立てなら左右非対称にして一部位に負荷を集中させる
  4. 重さを足す: 水入りペットボトルやリュックを背負う

いきなり4から入らず、回数とスピードで稼げるところまで稼ぐのがコツです。器具を買うのは、続く見込みが立ってからで遅くありません。

自重でも筋肉はつく

ダンベルがないと意味がない、と思う必要はありません。スクワットや腕立てのような自重トレーニングを、厚生労働省も筋トレの一種として明記しています。フォームを丁寧に保ち、上のように負荷を少しずつ足していけば、自宅の自重だけでも体はちゃんと反応します。

自宅トレーニングが続かない人の対策

「いつでもできる」が一番の落とし穴

自宅トレーニングの弱点は、いつでもできるからこそ、いつまでもやらないことです。ジムは行けば必ず動きますが、家は誘惑が多い。だから、やる気に頼らなくても勝手に続く仕掛けを先に用意しておきます。

マットを敷きっぱなしにする

畳んでしまうと、出すのが面倒になってサボります。視界に入る場所にマットを敷いておくだけで、自然と上に乗りたくなる。準備のひと手間をなくすことが、思っている以上に効きます。

既存の習慣にくっつける

家には「運動を始めるスイッチ」がありません。だから自分で作ります。朝のコーヒーの前にスクワット、お風呂の前にプランク。すでに毎日やっている行動の直前か直後に差し込むと、忘れずに続きます。なぜ運動が続かないのかをもっと深く知りたい人は筋トレが続かない理由を読むと、自分のつまずきどころが見えてきます。

楽しさを外から足す

やる気は枯れます。枯れる前提で、外側の仕組みに頼っておくと安心です。記録の力で運動を習慣にする方法は習慣化アプリの選び方にまとめました。運動するたびにアプリの中で相棒が育つ、という形で「またやりたい」を作る方法もあり、一人だと続かない人ほど、こうした仕掛けの力を借りる価値があります。

まとめ:今日2種目から始める

自宅トレーニングに、特別な器具も強い意志もいりません。マット1枚、なければ床。スクワット10回とプランク20秒。それを明日も繰り返せる軽さに設定する。やることはこれだけです。

慣れたら腕立てやヒップリフトを足し、週2〜3回のペースを半年続けられる形に整えていきます。宅トレ全体をもう一度見渡したくなったら宅トレ完全ガイドへ。まずは今夜、スクワット10回からでも始めてみてください。

よくある質問

自宅トレーニングは初心者なら何から始めればいいですか?
下半身のスクワットと体幹のプランク、この2つからで十分です。スクワット10回とプランク20秒を1セット、これを朝か夜のどこかで。慣れて物足りなくなったら腕立てやヒップリフトを足していきます。最初から全身を網羅しようとすると種目が多くて続かないので、まず2種目に絞るのがコツです。
器具なしの自宅トレーニングでも体は変わりますか?
変わります。スクワットや腕立てのように自分の体重を負荷にする自重トレーニングを、厚生労働省も筋トレの一種として認めています。負荷が足りなくなったら、回数を増やす、動作をゆっくりにする、片足や片手にして一部位に集中させる、の順で強度を上げられます。ダンベルがなくても水入りペットボトルやリュックで代用できます。
自宅トレーニングは週に何回やればいいですか?
筋力トレーニングは週2〜3回が目安です。厚生労働省も成人に筋力トレーニングを週2〜3日勧めています。同じ部位を毎日追い込むと回復が間に合わないので、間に1日休みを挟むくらいがちょうどいいです。回数より、その頻度を半年続けられるかのほうが大事なので、無理のないペースから始めてください。

この記事を書いた人

Yuki

睡眠・暮らしの健康担当

睡眠・食事・暮らしの健康を担当。運動の前後の過ごし方が、結果を静かに左右するという視点で書いています。