内転筋

内転筋の筋トレ|内ももを鍛える自宅メニューと頻度

ランジで内ももと股関節まわりに負荷をかける様子
写真: Shixart1985 / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)

太ももの内側にある筋肉、内転筋。普段の生活ではあまり意識しない場所かもしれません。しかし、ここをしっかりと動かして鍛えることで得られる恩恵は決して小さくありません。

思い立ったその日に、自宅の床で寝転がりながら始められるのも良いところです。特別な器具を用意しなくても、自分の体重を使った自重トレーニングで十分に鍛えられます。

内転筋を鍛えると何が変わるか

内転筋に刺激を入れると、私たちの体にはどんな変化が起きるのでしょうか。いちばん大きいのは、股関節まわりのケガが減ることです。

ノルウェーの研究チームが行った実験では、内転筋の種目を1つだけ行うプログラムを実践した男子サッカー選手において、鼠径部(そけいぶ)を痛めるリスクが41%下がりました。Harøy et al., 2019の報告によると、痛みを訴えた選手は21.3%から13.5%に減っています。種目を1つ足しただけでこの差が出るのは、正直かなり大きいと思います。

股関節が安定して脚のケガが減る

内転筋は骨盤と太ももの骨をつなぎ、股関節を内側から支えています。この筋肉が十分に強いと、着地や方向転換の際に股関節がぐらつきにくくなります。

日常生活でも同じです。階段を上り下りする時や、重い荷物を持って歩く時、股関節が安定していると膝や腰への負担が分散されます。特定の関節にだけ無理な力がかかるのを防ぎ、歩行時の安心感につながります。

内ももの張りが戻り、脚のラインが整う

筋肉の張りが戻ることで、太もも全体のラインが整います。内ももに隙間を作りたい、あるいはすっきりさせたいと考えるなら、適度に刺激を入れてやるのが近道です。

太もも痩せ下半身痩せのメニューを組む際も、内転筋へのアプローチは欠かせません。太ももの表側や裏側だけでなく、内側にも目を向けることでバランスの良い脚に近づきます。

骨盤が安定して、まっすぐ歩けるようになる

内転筋が弱いと、歩くたびに骨盤が外側に流れやすくなります。足の裏の外側にばかり体重がかかり、靴の減り方が偏ることも珍しくありません。

内ももの筋肉が働くと骨盤が横に流れにくくなり、まっすぐ歩けるようになります。歩く姿勢が良くなれば、長距離を歩いても疲れにくくなります。

内転筋は5つの筋肉の集まり

「太ももの内側」と一言で言っても、実は複数の筋肉が重なり合ってできています。それぞれが連携して機能しています。

5つの筋肉とそれぞれの働き

大内転筋、長内転筋、短内転筋、恥骨筋、薄筋の5つをまとめて「内転筋群」と呼びます。

大内転筋は、内転筋群の中で最も大きく力強い筋肉です。脚を閉じるだけでなく、脚を後ろに引く働きも助けています。長内転筋は、脚を閉じる動きの主役となります。短内転筋はそれらの奥に位置し、股関節の安定に深く関わります。

恥骨筋は脚を前に振り出す動きをサポートします。薄筋は内転筋群の中で唯一、骨盤から膝下まで伸びている長い筋肉で、膝の安定にも寄与しています。脚を閉じる動きに加え、前後へ動かす際にも補助として働くため、日常のさまざまな動作に関わっています。

座りっぱなしの生活では内ももが衰える

現代の生活環境は、内転筋を弱らせる要因に満ちています。デスクワークなどで長時間座り続けていると、脚を閉じるために筋肉を使う機会がほとんどありません。

厚生労働省のガイドラインは、成人の健康づくりのために座位行動を30分ごとに中断することを推奨しています。座りっぱなしは人の活動量を大きく下げ、筋肉を硬くしてしまいます。こまめに立ち上がるだけでも、股関節まわりの筋肉に軽い刺激が入ります。

自宅でできる5種目

自宅のマットで自重トレーニングに取り組む様子 写真: Shixart1985 / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)

いざ内転筋を鍛えようと思い立ったら、特別な道具を買いに走る必要はありません。下の表は難易度の低い順に並んでいます。自分の体力に合わせて選んでください。

種目目安の回数セット数
ボールやタオルをはさむ5秒キープ×10回2〜3セット
横向きレッグアダクション左右10〜15回2〜3セット
ワイドスクワット10〜15回2〜3セット
サイドランジ左右10回2〜3セット
コペンハーゲンアダクション左右5〜10回2〜3セット

ボールやタオルをはさむ

いちばん手軽に始められる種目です。椅子に浅く座るか、床に仰向けになって両膝を立てます。足の裏をしっかりと床につけ、膝の間にクッションや丸めたバスタオルを挟みましょう。

息を吐きながら、両脚でギュッとタオルを押し潰すように力を入れます。5秒間力を入れ続けたら、ゆっくりと緩めます。動作の間は呼吸を止めないように注意してください。テレビを見ながらでもできるため、運動の習慣がない人にぴったりです。

横向きレッグアダクション

床に横向きに寝転がります。下側の腕は頭の下に敷き、上側の手は胸の前の床について体を安定させます。上側の脚は膝を曲げて体の前に下ろし、足の裏を床につけてください。

下側の脚はまっすぐ伸ばしたまま、かかとから天井に向かって持ち上げます。小さな動きですが、内転筋に直接負荷がかかります。内ももがギューッと縮むのを感じながら持ち上げ、下ろす時は力を抜かずに床ギリギリで止めます。反動を使わず、コントロールしながら上下させるのがコツです。

ワイドスクワット

両足を肩幅の1.5倍から2倍程度に大きく開き、つま先を斜め45度ほど外側に向けます。背筋を伸ばし、胸を張った姿勢からスタートします。スクワットの効果を引き出しつつ、刺激を太ももの内側に集中させるバリエーションです。

股関節から折り曲げるようにして、お尻をまっすぐ下に下ろしていきます。このとき、膝がつま先と同じ方向を向いたまま腰を下ろすのが最大のポイントです。膝が内側に入ると関節を痛める原因になります。太ももが床と平行になる深さまで下ろしたら、かかとで床を押して立ち上がります。

サイドランジ

足を大きく開いて立ち、つま先は正面か少し外側に向けます。片方の膝を曲げながら、お尻を後ろに引くようにして体重を横に移動させます。伸ばしている側の内ももに、心地よいストレッチ感があるはずです。

背中が丸まらないように注意しながら深く沈み込みます。そこから、曲げた脚で床を強く蹴り、元の姿勢に戻ります。左右交互に行う方法と、片側を規定の回数こなしてから逆脚に移る方法があります。バランスを取りにくければ、最初は浅い動きから始めてください。

コペンハーゲンアダクション

先述のHarøyらの研究でも使われた、負荷の高い種目です。椅子やベンチを用意してください。横向きになり、上側の脚をベンチの座面に乗せます。下側の腕の肘を床につき、体を支えます。

下側の脚は浮かせたまま、頭から足先までが一直線になるように腰を持ち上げます。この姿勢をキープするか、腰を上げ下げして内ももに負荷をかけます。最初はベンチに膝の近くを乗せて行いましょう。支点が体幹に近いほど負荷が下がります。フォームに慣れてきたら、ベンチに乗せる位置を足首へと遠ざけ、段階的に強度を上げていきます。

頻度と進め方

毎日やれば早く効く、という部位ではありません。回復に時間がかかるぶん、週に何回やるかで結果が変わります。

週2〜3日から始める

厚生労働省の情報シート:筋力トレーニングについては、成人にも高齢者にも筋トレを週2〜3日すすめています。負荷をかけたら休息日も設けること、とあわせて書かれています。

この推奨は、筋肥大の研究とも矛盾しません。Schoenfeldらのメタ分析では、同じ筋肉の部位を週2回鍛えるほうが、週1回だけ鍛えるよりも筋肥大に有利であることが示されています。週に2〜3回、しっかりと負荷をかける日を作れば十分です。

段階的に強度を上げる

Harøyらの研究プログラムも、時期に合わせて頻度を変えていました。プレシーズンと呼ばれる準備段階の6〜8週間は週3回行い、シーズン中の28週間は週1回に減らして筋力を保つ、という組み方でした。

これから始める場合も、まずは週2〜3日の頻度で動きに慣れる時期を作ります。正しいフォームで決めた回数をこなせるようになったら、種目の難易度を上げたり、セット数を増やしたりして少しずつ強度を高めます。

ストレッチとセットにする

内転筋と股関節まわりのストレッチ 写真: Shixart1985 / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)

筋肉を鍛えることと同じくらい大切なのが、関節の動きを滑らかにしておくことです。特に股関節まわりは、日常生活の癖が蓄積して柔軟性を失っていることが多い部位です。

股関節まわりをゆるめてから鍛える

硬く縮こまった筋肉に無理な力をかけると傷みやすくなります。トレーニングを始める前に、軽い股関節ストレッチを取り入れてください。反動をつけず、じんわりと内ももを伸ばして可動域を広げておきます。

関節が本来の範囲まで動くようになれば、筋トレ中も筋肉がしっかりと伸び縮みし、トレーニングの効果が高まります。

筋トレ後のケアも忘れない

トレーニングが終わった後は、使った筋肉を優しく伸ばしてあげましょう。床に座って足の裏を合わせ、両膝を左右に開く定番のストレッチがおすすめです。

息を吐きながら少しずつ上体を前に倒し、内ももが心地よく伸びる場所で20〜30秒ほど静止します。筋トレ後のケアを習慣にすることで、疲労の抜け方が変わり、次回のトレーニングに良い状態で臨めます。

やりがちな間違い

一生懸命やっているのに内ももに効いている気がしない。そんな時は、フォームや意識の向け方に原因が隠れています。

反動をつけて脚を動かす

脚を動かす種目で一番多い失敗です。勢いをつけて脚を振り上げると、動作自体は楽になります。しかし、肝心の内転筋にはほとんど負荷がかかっていません。

筋肉を確実に疲れさせるには、ゆっくりとした動作が必要です。動きの切り返しや、一番きついと感じるポイントで一瞬動きを止めるつもりで行うと、内ももが張ってくるのがはっきり分かります。

回数だけを目標にする

50回や100回といった大きな数字を目標にすると、どうしても動きが雑になります。「ただこなすこと」が目的になってしまうからです。

筋肉を発達させるには、正しいフォームで10回を3セット行うほうがはるかに効きます。回数が物足りなく感じるようになったら、回数を増やすのではなく、コペンハーゲンアダクションのような強度の高い種目に切り替えてください。質の高い負荷をかけることが、筋肉を変える近道になります。

焦らずじっくり内ももを育てる

内転筋のトレーニングは、地味な動きの連続です。内ももは、鏡を見てすぐ変化が分かる部位でもありません。

しかし、週に数回のトレーニングを数ヶ月続けていくと、歩く時の脚の運びや、階段を上る時の安定感が変わってきます。まずは簡単な種目から生活に取り入れ、自分の筋肉と向き合う時間を作ってみてください。

よくある質問

内転筋の筋トレは毎日やってもいいですか?
筋肉の回復を待つため、週2〜3日のペースをおすすめします。休みを入れたほうが、結果的に筋肉は育ちます。
内ももを引き締めるにはどれくらいの期間が必要ですか?
個人差はありますが、週2回程度のトレーニングを数ヶ月続けると変化を感じやすくなります。焦らずにフォームを意識して継続することが大切です。
器具なしで内転筋を鍛えることはできますか?
はい。ワイドスクワットやサイドランジなど、自分の体重を使った種目で十分に鍛えられます。特別な道具がなくても自宅ですぐに始められます。

この記事を書いた人

Mei

習慣・宅トレ担当エディター

ZEN LABO のエディター。宅トレと「続け方」を中心に、ゼロから始める人でも無理なく運動を習慣化できる方法を発信しています。