姿勢改善

反り腰を改善するには。原因の見分け方と効果的なストレッチ・筋トレ

反り腰(骨盤前傾)で腰が反って見える立ち姿勢の横向きの様子
写真: Hajinishere / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

反り腰を根本から見直すなら、まずは自分の骨盤がどれくらい傾いているかを知る必要があります。股関節まわりの「硬さ」と、お腹やお尻の「弱さ」。この二つが組み合わさって骨盤が前に倒れ、結果として腰が反っているからです。

腰をマッサージしたりストレッチしたりしても、しばらくすると元に戻ってしまいます。改善の入り口は、筋肉の硬い場所と弱い場所をきちんと切り分けることです。

姿勢と体幹を全体から見直したい人は、先に体幹トレーニングの基本ガイドに目を通してみてください。この記事の話がよりスムーズに飲み込めます。

反り腰とは「骨盤の前傾」

医学的には骨盤前傾(ぜんけい)と呼ばれます。骨盤が前に倒れると、背骨がそれに引っぱられます。バランスをとるために腰の骨のカーブが強くなり、横から見たときに腰が深く反って見えます。ぽっこりとお腹が前に突き出し、お尻が後ろに上がったように見えるのもこの傾きが原因です。

実は、反り腰そのものは珍しい姿勢ではありません。腰痛のない健康な120人を対象にした研究では、男性の85%、女性の75%が骨盤前傾の状態だったと報告されています。痛みがまったくない人にもごく普通に見られます。反り腰だからといって、すぐに異常だと慌てる必要はありません。気にかけるべきは、腰の張りや疲れやすさといった実際の不調を感じているかどうかです。

壁立ちと仰向けで傾きを確かめる

自分が反り腰かどうかは、自宅の壁を使って大まかに確かめられます。

かかと、お尻、背中、後頭部の4点を壁につけて立ってみてください。そのまま腰と壁の隙間に手を入れます。手のひらが軽く入る程度なら、自然なカーブの範囲に収まっています。手がすっぽり入ったり、握りこぶしが入りそうなほど大きく空いていたりするなら、反りが強い状態です。

仰向けで膝を伸ばして寝た姿勢でもチェックできます。床と腰の間に大きな隙間ができ、手がスルスル通るなら反り気味です。そのまま膝を立ててみてください。骨盤の傾きがゆるみ、隙間が小さくなる人が多いはずです。

原因は前後の筋肉のアンバランス

反り腰は、骨盤を「前に引く力」と「後ろに戻す力」のバランスが崩れることで起こります。

骨盤の傾きを整える筋肉の働きを調べた研究によると、骨盤を前に傾ける側として腸腰筋・大腿四頭筋(前もも)・背中の脊柱起立筋が働き、後ろに戻して整える側としてお尻の大殿筋・もも裏のハムストリングス・腹筋が関わるとされています。前側が硬く縮んで骨盤を強く引っぱり、後ろ側が弱くて引き戻しきれない。これが反り腰の正体です。

硬く縮みやすい「前側」

デスクワークなどで長時間座っていると、股関節を曲げた姿勢が続きます。すると、股関節の前を通る腸腰筋(ちょうようきん)が縮こまったまま固まってしまいます。前ももの大腿四頭筋も同じく硬くなりやすい筋肉です。

ここが硬いと、立ち上がったときにも骨盤を前に引っぱり続けます。また、ヒールの高い靴を日常的に履く人も要注意です。重心が前につんのめるのを防ごうと腰を反らせて立つ癖がつきやすく、反り腰を後押ししてしまいます。

使われず弱りやすい「後ろ側」

骨盤を後ろに戻す役割を持つお尻や腹筋は、現代の生活では使う機会が少なく、どうしても弱りやすい部分です。

先ほどの研究でも、骨盤の傾きを整える動作においてお尻の大殿筋はほぼすべての人で働いていたと報告されています。お尻の筋肉がしっかり使えていないと、骨盤を引き戻すブレーキが効きません。結果として、骨盤は前に傾いたまま固定されてしまいます。

反り腰を整えるストレッチと筋トレ

やるべきことはシンプルです。硬い前側を伸ばし、弱い後ろ側を鍛えます。

片方だけでは骨盤を引っぱる力関係は変わりません。まずはしっかり伸ばし、そのあとに鍛える。この順番で取り組むと、体感としても効きやすくなります。

低い前後開脚の姿勢で股関節の前側、腸腰筋を伸ばすストレッチ

写真: Martin Sinzinger, Fotograf / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

腸腰筋と前ももを伸ばす

腸腰筋を伸ばすには、片膝立ちの姿勢をとります。後ろ足の膝を床につき、前足は直角に曲げて立てます。骨盤を軽く後ろに倒す意識を持ちながら、体重をゆっくり前に移してください。後ろ足側の股関節の前あたりがじわっと伸びるのを感じるはずです。腰を反らせて前に進むと、股関節ではなく腰に負担がかかってしまうので、お腹を軽く締めたまま行います。

前ももを伸ばす場合は、立った状態で片足の甲を持ち、かかとをお尻に近づけます。このときも腰を反らさず、膝を少し後ろに引く意識を持つと、前ももの筋肉にしっかり効きます。

伸ばす時間について、厚生労働省のe-ヘルスネットではストレッチングは最低20秒、痛くなく気持ちよい範囲で、呼吸を止めずに行うことを推奨しています。反動はつけず、呼吸を続けながら静かに伸ばしてください。

お腹の奥を使うドローインとデッドバグ

お腹の深い部分を使う感覚をつかむには、ドローインが分かりやすいです。仰向けになって膝を立てます。息を吐きながらお腹を薄く凹ませ、腰と床の隙間を埋めるように軽く床へ押しつけます。そのまま10秒ほど保って、ゆっくり戻す。これで骨盤を後ろに倒す感覚が身につきます。

慣れてきたら、デッドバグという種目に進みます。仰向けで両手を天井に伸ばし、膝を直角に曲げて持ち上げます。そこから、対角の手と足をゆっくり床のほうへ伸ばします。腰が浮かないよう、ドローインで覚えたお腹の締めをキープするのが最大のポイントです。腰が反りそうになったらそこが限界のサインです。無理に手足を伸ばしきらず、手前で戻してください。

仰向けでお尻を持ち上げるヒップリフト、お尻と腹筋を使うフォーム

写真: Biswarup Ganguly / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)

お尻の筋肉を目覚めさせるヒップリフト

弱りやすいお尻を直接鍛えるなら、ヒップリフトが手軽です。仰向けで膝を立て、かかとで床を押しながらお尻を持ち上げます。一番上で一度動きを止め、お尻をぎゅっと締めてからゆっくり下ろします。腰の力で持ち上げようとすると腰が反ってしまうため、あくまでお尻の筋肉で押し上げる意識を持ってください。肩から膝が一直線になる高さまで上げれば十分です。

骨盤の傾きを自分で動かす練習も役立ちます。立った姿勢や四つん這いで、骨盤を前に倒したり後ろに倒したりを繰り返します。ふだん前に傾きっぱなしの骨盤を、意識して中間の位置に戻せるようにするのが狙いです。

自宅でできる種目をもっと知りたい人は、自宅筋トレの始め方もあわせて読んでみてください。

改善に取り組む際の注意点

反り腰を直そうとして、腰のストレッチばかり一生懸命にやる人がいます。しかし、腰の張りは反り腰が引き起こした結果です。腰だけを念入りに伸ばしても、根本にある股関節の硬さは残ったままです。アプローチする場所を間違えないように気をつけてください。

「腹筋をたくさんやれば治る」と考える人も多くいます。腹筋は弱い側を補うために必要ですが、前側の腸腰筋や前ももが硬いままでは、骨盤を前に引っぱる力に勝てません。伸ばすことと鍛えることは、必ずセットで考えます。

姿勢を良くしようとお腹を引っ込めて胸を張りすぎるのも逆効果です。かえって腰を反らせてしまうことがよくあります。力ませて固めるような姿勢は長続きしません。

腰まわりの慢性的な張りには、腰痛をやわらげるストレッチで日々ほぐしておくのも有効です。背中を丸めがちな猫背の改善とは姿勢の崩れる向きが逆になるため、自分がどちらのタイプかを見極めてから取り組むと無駄がありません。

なお、お尻や脚にしびれがある、強い痛みが続く、安静にしていても痛むといった場合は、ストレッチや筋トレを試す前に整形外科を受診してください。妊娠中や産後の骨盤の状態については、自己流で動かす前に医師や理学療法士などの専門家に相談するほうが安全です。反り腰の改善は、あくまで不調のない範囲で無理なく続けるのが大前提です。

毎日のストレッチを習慣として定着させたい人は、毎日続けるストレッチ習慣の組み立て方が参考になります。反り腰のケアは一日で終わるものではありません。ストレッチとヒップリフトを毎日少しずつ、コツコツと積み上げていくのが、体を変える着実な方法です。

よくある質問

反り腰は何日くらいで改善しますか?
個人差が大きく、何日で治ると言い切れるものではありません。反り腰は腸腰筋や前ももの硬さと、お尻や腹筋の弱さが積み重なってできた癖です。固まった筋肉を伸ばし、弱った筋肉を使えるようにするには時間がかかります。まずはストレッチと軽い筋トレを毎日続け、立ち姿勢や腰の張りに変化を感じ始めるまで、数週間はみておいてください。一度ゆるんでも、座りっぱなしの生活に戻れば癖も戻ります。改善後も最低限のストレッチを続けるほうが、長い目で見て体が楽になります。
反り腰だと必ず腰痛になりますか?
必ずしも腰痛になるわけではありません。健康で腰痛のない120人を調べた研究では、男性の85%、女性の75%が骨盤が前傾した反り腰の状態でした。痛みがまったくない人にもごく普通に見られる姿勢です。そのため、反り腰だからといって過剰に心配する必要はありません。ただし、腰の張りや疲れやすさを感じているなら、硬い部分をゆるめて弱い部分を鍛えることで、立っているときや歩くときの腰の負担が軽くなります。しびれや強い痛みがある場合は、自己判断でストレッチをする前に整形外科を受診してください。
腹筋を鍛えれば反り腰は治りますか?
腹筋だけでは足りないことが多いです。反り腰は前側の腸腰筋や前ももが硬く縮み、後ろ側のお尻や腹筋が弱っているという、前後のアンバランスで起きます。腹筋を鍛えるのは弱い側を補う意味で有効ですが、前側の硬さをそのままにして腹筋だけ頑張っても、骨盤を引っぱる力関係は変わりません。骨盤の傾きを整える研究でも、お尻の筋肉がほぼ全員で働いていました。まず硬い前側を伸ばし、そのあとにお尻と腹筋を一緒に使えるようにする。この順番で組み合わせるのが効果的です。

この記事を書いた人

Sora

ケア・ストレッチ担当

回復・ストレッチ・体のケアを担当。痛みなく動き続けるための、地味だけど大事なメンテナンスについて書いています。