ラジオ体操

ラジオ体操の効果は?消費カロリーと第一・第二の違い、続け方

木々に囲まれた公園の広場で、大勢の大人が片腕を上げて体を横に曲げるラジオ体操をしている様子
写真: MIKI Yoshihito from Sapporo City,Hokkaido., JAPAN / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)

ラジオ体操は、毎日の習慣として取り組みやすい約3分の全身運動です。第一は約3分10秒で運動強度は4.0メッツ、第二は約3分5秒で4.5メッツとされています。体重60kgの人が第一を1回行うと、安静時の分も含めて約12kcal、運動による上乗せ分だけなら約9.0kcalです。

フレイル気味の高齢者を対象にした研究では、12週間続けた群で敏捷性と持久力のテスト結果が対照群より良くなりました。一方で、主な評価項目だった心の健康に関する生活の質は変わらず、体力の改善幅も小さなものでした。

手軽な運動の土台にはなりますが、これだけで厚生労働省が成人に勧める運動量を満たしたり、ダイエットを成功させたりするのは難しいところです。まずは第一を毎日の生活に組み込み、散歩や筋力トレーニングへ広げる足がかりにするのが現実的です。運動不足を解消する全体の流れは運動不足解消の始め方にまとめています。

ラジオ体操は何分で、何キロカロリー消費する?

第一は約3分10秒、第二は約3分5秒

12週間のランダム化比較試験の論文に記載された所要時間は、ラジオ体操第一が3分10秒、第二が3分5秒、みんなの体操が4分30秒です。

強度は第一4.0メッツ、第二4.5メッツ

運動の強さを示す単位に「メッツ(METs)」があります。安静時を1として、その何倍のエネルギーを消費するかを表す指標です。厚生労働省『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』のメッツ表(国立健康・栄養研究所の改訂版メッツ表を改変したもの)によると、ラジオ体操第一は4.0メッツ、ラジオ体操第二は4.5メッツに相当します。座って行うラジオ体操は2.8メッツです。

ほかの運動と並べると、次のとおりです。

  • 2.3メッツ:ストレッチング
  • 2.5メッツ:ヨガ
  • 4.0メッツ:卓球、パワーヨガ、階段を上る(ゆっくり)、自転車に乗る(16km/時未満・通勤)
  • 4.3メッツ:やや速歩(平地、93m/分)
  • 4.5メッツ:テニス(ダブルス)、水中歩行(中等度)

第一はゆっくり階段を上るのと、第二はダブルスのテニスと同じくらいの強度です。

体重別の消費カロリーの目安

消費カロリーは「メッツ×時間(h)×体重(kg)」で計算できます(厚生労働省のガイド2023)。ラジオ体操1回を3分(0.05時間)として計算した、安静時のエネルギーも含めた目安は次のとおりです。

体重ラジオ体操第一(4.0メッツ)ラジオ体操第二(4.5メッツ)
50kg約10.0kcal約11.3kcal
60kg約12.0kcal約13.5kcal
70kg約14.0kcal約15.8kcal

なお、厚生労働省の資料では、総消費量から安静時のエネルギー量を引いた値を「運動で消費するエネルギー量」として示しています。安静時分(1メッツ)を引いて計算し直すと、体重60kgの人が第一を行って消費するのは約9.0kcal、第二は約10.5kcalとなります。

ダイエット目的なら「上乗せ」として考える

体重60kgの人が第一と第二を続けて毎日行った場合、安静時を含めても1日の消費カロリーは約26kcalです。1週間毎日続けても約180kcalにしかなりません。

減量が目的なら、ラジオ体操だけで大きく体重を落とすのは現実的ではありません。食事の見直しを土台にし、ウォーキングの消費カロリーを目安に歩く量を増やすなど、ほかの活動に上乗せする運動として考えるのが妥当です。有酸素運動で脂肪がどう減るのかは有酸素運動の効果で詳しく扱っています。

ラジオ体操第一と第二の違い

公式の説明:第一は「誰でも」、第二は職場向けで強め

かんぽ生命のラジオ体操Q&Aによると、第一と第二には明確な目的の違いがあります。

ラジオ体操第一は「いつでも」「どこでも」「だれでも」行えるように一般向けに作られました。運動強度はそれほど強くありません。

対してラジオ体操第二は、職場向けに青・壮年層を対象として作られています。体を鍛え、筋力を強化することにポイントを置いているため、運動強度は第一よりも強く設定されています。どちらも13の運動で構成されていますが、4.0メッツと4.5メッツという数字の違いにもこの目的が表れています。

どちらから始めるか

運動習慣がない方は、まず第一から始めるのが無難です。毎日続けて体力がつき、物足りなくなってきたら第二も続けて行い、合計約6分の運動にするのが良い流れです。膝や腰に不安がある人、体力に自信がない人は、無理に第二へ進む必要はありません。第一だけを続けるか、より強度の低い座って行う版から始めてください。

研究でわかっているラジオ体操の効果

フレイル気味の高齢者を対象にした12週間のランダム化比較試験

東京都健康長寿医療センターなどの研究グループ(Osuka et al. 2024)が、プレフレイルまたはフレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)の地域在住高齢者220人(年齢中央値78歳、女性70%。登録は226人)を対象に試験を行いました。

対象者を「ラジオ体操(第一・第二・みんなの体操)と栄養プログラムを行う群」と「栄養プログラムのみを行う群」に分け、12週間にわたって比較しました。運動群は週に1回の集団セッション(60分)を5回受け、さらに自宅で毎日体操を実践しました。自宅での実施率は中央値で94%でした。

ラジオ体操を行った群は栄養プログラムのみの群と比べて、「8フィートアップ&ゴー(敏捷性・動的バランスを測るテスト)」のタイムが0.3秒多く縮まり、「2分間足踏み(持久力を測るテスト)」の回数の伸びも3.2回大きくなりました。また、運動を続ける自信(セルフエフィカシー)の低下も小さく抑えられました。

一方で、主な評価項目だった心の健康に関する生活の質(SF-36の精神的側面のスコア)や、椅子立ち上がり・腕の筋力・柔軟性のテストには有意な差が出ませんでした。著者らは結論で「これらの変化はQOLを改善しない」と明記しています。身体面の効果が控えめだった理由としては、ラジオ体操の強度の低さ(論文では約3.7メッツ。厚労省のメッツ表では第一が4.0メッツ)と、1回3〜4分という短さを挙げています。

高齢者約1万1千人を約5年追った研究と認知症

65歳以上の11,219人を平均5.3年追跡した前向きコホート研究(Kanamori et al. 2024)では、体操の習慣と要介護認定・認知症リスクとの関連が調査されました。

体操をしない群と比較して、ラジオ体操だけをしていた群は、認知症(要介護認定の基準で判定)のハザード比が0.82(95%信頼区間0.68〜0.9998)でした(1を下回るほど、認知症と判定されるリスクが低い方向の関連を示します)。ただし、この群の「要支援・要介護全体」のハザード比は0.99(95%信頼区間0.87〜1.13)であり、明確な関連は認められませんでした。

この結果には限界もあります。信頼区間の上限がほぼ1に接していること、体操の頻度が「平均的な1か月に少なくとも1回行うか」という分類にとどまり週に何回やっていたかは不明であること、そして観察研究であるため「ラジオ体操をしたから認知症が防げた」という因果関係までは示せないことです。

研究から言えないこと

この記事で確認した研究は、どちらも日本の高齢者が対象です。若い世代や働く世代に同じ効果があるかはわかりません。

また、ラジオ体操で体重が減る、肩こりや腰痛が劇的に改善する、といった話も、これらの研究では検証されていません。効果がないと言い切れるわけでもないので、今のところは「3分で全身を動かせる軽い運動」くらいに考えておくのが妥当です。

効果を高めるやり方:公式図解の押さえどころ

競技場の芝生で、台の上に立つ指導者の動きに合わせて中高年の参加者がラジオ体操をする様子 写真: Yoh-Plus / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)

かんぽ生命の『ラジオ体操第一 図解』には、13の運動それぞれにコツが書かれています。自己流で崩れやすいものを中心に抜き出します。

腕と背すじはよく伸ばす

最初の「伸びの運動」は、腕をよく伸ばしてゆっくり高く上げ、背すじも伸ばすのがコツです。「腕を回す運動」では、腕や肩の力を抜き、遠心力を使って大きく回します。

呼吸を止めずに大きく動く

「胸を反らす運動」では、深い呼吸を心がけ、顔が上を向きすぎないように注意します。最後の「深呼吸」も、腕の動きにとらわれず、深い呼吸を意識することがコツとされています。「両脚で跳ぶ運動」は、前半は軽く跳び、後半の開脚跳びは大きく跳んで強弱をつけます。

ねじる・曲げる運動は下半身を固定する

「体を横に曲げる運動」は、前かがみにならないよう、腕を真横から上げるようにします。「体をねじる運動」では、腕を振る勢いにつられて脚が一緒に動いてしまわないように下半身を踏ん張ります。

公式の動画を見ながら一度鏡の前で動きを確かめると、自己流になっていた部分に気づきやすくなります。体操の前後に首や股関節もほぐしておきたい日は、ストレッチを毎日続ける効果と部位別メニューを参考にしてください。

ラジオ体操を毎日続けるコツ

緑の多い公園の一角に立つ「年中無休 ラジオ体操会場」の看板 写真: Nesnad / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)

毎朝の行動に紐づけて時間を固定する

新しい運動を始めるときは、すでにある習慣にくっつけると忘れにくくなります。朝起きてお湯を沸かす間、あるいは着替えた直後など、やるタイミングを固定してしまいましょう。前日のうちに動画を開いておくのも一つの手です。何から手をつけるか迷っているなら、運動不足は何から始めるかの散歩から入る1か月プランに、朝のラジオ体操を足す形でも始められます。

第一だけの日があっていい

厚生労働省のガイド2023のQ&Aでは、運動に最低限の頻度は「ありません」と明言されています。短い時間の積み重ねでも健康増進効果は得られ、週に1回でも効果があることが報告されています。気分が乗らない日は第一だけやる、と決めておき、実施回数をゼロにしないことが継続のコツです。

運動量でいえば、1回3分として第一と第二を続けて毎日行っても、週に約3メッツ・時です。ガイド2023が成人に推奨している「3メッツ以上の運動を週4メッツ・時以上(息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上)」には少し届きません。ラジオ体操を習慣化できたら、家でできる運動不足解消の筋力トレーニングを追加したり、週末に少し長めの散歩に出かけたりして運動量を補いましょう。

65歳以上なら、頻度の目安がもう一つあります。ガイド2023の高齢者版は、筋力・バランス・柔軟性など複数の体力要素を高める運動(マルチコンポーネント運動)として「体操やダンス、ラジオ体操などの多様な動きを行う運動」を挙げ、WHOのガイドラインが週3日以上を勧めていると紹介しています。多要素の運動を中心にしたプログラムでは転倒リスクが12〜32%下がったという結果もありますが、これは多要素運動全般のデータで、ラジオ体操だけを調べたものではありません。

近所のラジオ体操会や記録で仲間と続ける

一人で続けにくいなら、近所の公園や広場で開かれているラジオ体操会に参加するのも良い方法です。家でやる日は、カレンダーに印をつけたりアプリで記録を共有したりして、続いた日数が見えるようにしておきましょう。

注意点:痛みがある日、持病がある人は

やる前の体調チェック

体調が悪い日に無理をするのは禁物です。厚生労働省のガイド2023には、運動前の体調確認チェック項目として以下のような代表例が挙げられています。

  • 足腰の痛みが強い
  • 熱がある
  • 体がだるい
  • 頭痛やめまいがする
  • 睡眠不足で体調が悪い
  • 少し動いただけで息切れや動悸がする

一つでも当てはまる日は休んでください。

腰や膝に痛みがある場合

運動で悪化する腰痛や膝痛、関節の変形などがある場合は、あらかじめ医師に相談してから始めてください。

前述の高齢者を対象とした12週間の研究でも、有害事象として痛みの報告がラジオ体操群で30件、対照群で21件ありました。転倒は4件と1件でした。有害事象全体の発生率には、両群で統計的な差はありませんでした。ラジオ体操と関連の可能性があると判定されたのは「軽い痛み」の3件のみでしたが、リスクがゼロというわけではありません。

痛む箇所に負荷がかからない動きを選び、低強度・短い時間から慣らしていきましょう。跳ぶ運動を軽い足踏みに替える、体をねじる角度を浅くする、といった調整です。

転倒が心配なら座って行う

整形外科的な障害や転倒のリスクがある方にとっては、年齢や健康状態に応じた適量の見極めが重要です。立って行うのが不安な場合は、座って行うバージョン(2.8メッツ)を活用してください。かんぽ生命の公式ページにも座位版の図解が用意されています。

痛みや違和感がある日は休み、調子が良い日は動きを少し大きくする。そのくらいの加減で続けていける運動です。

よくある質問

ラジオ体操は毎日やると効果がありますか?
フレイル気味の高齢者が12週間、自宅で毎日続けた研究では、敏捷性と持久力のテスト結果が対照群より良くなりました。一方で心の健康に関する生活の質は変わっていません。厚生労働省のガイドは週1回でも健康増進効果が報告されているとしているので、毎日できない日があってもゼロにしないことを優先してください。
ラジオ体操で痩せますか?
体重60kgの人がラジオ体操第一を1回(約3分)行うと、安静時の分も含めて約12kcal、運動による上乗せ分だけなら約9.0kcalです。これだけで大きく痩せるのは難しいので、食事の見直しやウォーキングなどと組み合わせてください。
ラジオ体操の第一と第二はどちらをやるべきですか?
運動に慣れていない方は、一般向けに作られた第一から始めるのが無難です。第一に慣れて物足りなくなったら、より強度が高く筋力強化に重点を置いた第二を続けて行い、合計約6分にすると運動量を増やせます。

この記事を書いた人

Sora

ケア・ストレッチ担当

回復・ストレッチ・体のケアを担当。痛みなく動き続けるための、地味だけど大事なメンテナンスについて書いています。