インターバル速歩

インターバル速歩のやり方|効果の研究と無料アプリの範囲

桜並木の土の道を犬を連れて歩く人たち
写真: 松岡明芳 / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

インターバル速歩は、3分間の「さっさか歩き」と3分間の「ゆっくり歩き」を交互に繰り返す歩き方です。目安は、各自の最大歩行速度の約70%(ややキツイとキツイの中間)で歩く速歩3分と、呼吸を整えるゆっくり歩き3分を1セットにして、1日5セット以上(速歩15分以上)、週4日以上。これを5か月続けるのが JTRC(NPO法人熟年体育大学リサーチセンター)の目標です。

平均63歳の男女を対象にした5か月の比較試験では、1日15分以上の速歩を週4日以上続けた群で、脚の筋力と持久力が、普通の速さで歩き続けた群より大きく伸びたと報告されています。JTRC の比較では、1日1万歩のウォーキングでは脚の筋力や持久力が増えませんでした。インターバル速歩は、その2つを狙って速さに強弱をつける歩き方です。

公式のスマートフォンアプリもあります。ただし提供元である株式会社グラムスリーのサイトによると、無料版だと15分のトレーニングしか選べません。30分や60分の設定、1週間より前の履歴や4週間のグラフなどは月額990円の会員向けとされています。

インターバル速歩とは

速歩3分とゆっくり歩き3分を交互に繰り返す歩き方

やり方は単純です。「さっさか歩き」と「ゆっくり歩き」を3分ずつ順番に行います。

JTRC は、ハァハァと息があがるくらいの速さで“さっさか”歩くと説明しています。一方のゆっくり歩きは、乱れた呼吸を整えるための時間です。ゆっくり歩きで息を整えるので、次の3分をまた速く歩けます。

信州大学・能勢博らが中高年のデータで検証してきた経緯

1997年に始まった中高年向けの「熟年体育大学」事業の中で、信州大学の能勢博教授らがデータを集めてきました。

2014年の同氏の報告によれば、このプロジェクトは15年間で5,200名のデータベースを構築していました。参加者は3軸加速度計と気圧計を内蔵した「熟大メイト」という専用の活動量計を身につけ、坂道でのエネルギー消費量なども含めて詳細な運動記録を残してきました。「インターバル速歩」と「熟大メイト」は、どちらも JTRC の登録商標です。

普通のウォーキング(1日1万歩)との違い

歩くこと自体は健康に良いと広く知られています。しかし JTRC によると、毎日1万歩を歩いた人たちは腹筋の力や敏捷性がわずかに上がった程度で、脚の筋力や持久力は増えませんでした。

能勢氏は、体力は20代をピークに10年ごとに5〜10%ずつ落ち、20代の30%を下回ると自立した生活が難しくなると述べています。インターバル速歩が狙うのは、この落ちやすい脚の筋力と持久力です。有酸素運動の基本と厚労省の活動量の目安もあわせて参考にしてください。

正しいやり方:強さ・時間・回数の目安

1日5セット以上(速歩15分以上)を週4日以上

項目目安
速歩3分。最大の約70%(ややキツイとキツイの中間)
ゆっくり歩き3分。最大体力の40%以下で呼吸を整える
1日5セット以上(歩行30分・うち速歩15分以上)
1週間4日以上(速歩の合計60分以上)
期間5か月(JTRC の目標期間)

基本的な目標は、1日5セット以上です。速歩3分とゆっくり歩き3分で合計6分。これを5セット繰り返すと、ちょうど30分の歩行時間になります。そのうち速歩の時間が15分を占める計算です。

JTRC と健康長寿ネットは、この1日15分以上の速歩を週4日以上行い、まずは5か月間継続することを推奨しています。

速歩の強さは「ややきつい」(最大の約70%)

大事なのは速歩の強さです。JTRCは、各自の最大歩行速度の約70%を速歩の目安としています。

体感としては「ややキツイとキツイの中間ぐらい」です。公益財団法人長寿科学振興財団が運営する健康長寿ネットでも、速歩の強さを「ややきつい」レベルと表現しています。

ゆっくり歩きは呼吸を整える強さ

速歩のあとのゆっくり歩きは、最大体力の40%以下の強さで、呼吸を整えながら歩きます。前の3分間で上がった心拍数と呼吸を落ち着かせるための時間です。

毎日できない人は週合計60分・週末まとめも可

平日は仕事や家事で忙しく、まとまった時間が取れない人もいます。能勢氏は、平日が忙しい人は週末にまとめて、速歩の合計が週60分になるように行ってもよいとしています(JTRC のインタビュー)。

たとえば土日に速歩30分ずつ(計算上は各日10セット、歩行60分)という配分になります。

歩き方のフォームと1回の流れ

姿勢・着地・腕振り

JTRC は、歩き方について次の3点を挙げています。

  • 胸を張って歩く。
  • かかとから着地し、足裏全体でしっかりと地面を踏み込む。
  • 腕は前に突き出すのではなく、少し後ろに引くことを意識して前後に振る。

普段着のまま、時計を見ながら歩調を変えるだけで始められます。

ウォームアップから5セット、クールダウンまで

運動を始めるときは、いきなり全速力で歩き出してはいけません。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、ある程度の強度の運動を行う前には体調を確認し、ウォームアップを行うよう推奨されています。

最初は軽いストレッチやゆっくりとした歩行から始めます。体が温まってきたら、インターバル速歩を5セット行います。運動の最後は急に立ち止まらず、5〜10分ほど低〜中強度の動的な運動(ゆっくり歩くなど)を行ってクールダウンします。

水分補給のタイミング

脱水症状を防ぐため、歩いている最中の水分補給は必須です。JTRC は、10〜15分ごとに約100mlの水分を摂ることを推奨しています。

水か、塩分を含むスポーツドリンクを飲みます。JTRC は、高齢の人は「のどが渇いた」と感じる前に、少し多いかなと思うくらいの量を飲むよう勧めています。

インターバル速歩の効果:研究でわかっていること

5か月のランダム化比較試験(Nemoto 2007)

効果については、中高年を対象にした研究がいくつか報告されています。2007年に発表されたNemotoらの研究では、平均年齢63歳の男女246人を対象に、5か月のランダム化比較試験が行われました。

参加者は「歩行トレーニングをしない群」「中等度の持続的なウォーキングを行う群」「インターバル速歩を行う群」の3つに分けられました。結果として、インターバル速歩を行ったグループは、等尺性の膝伸展筋力が13%、膝屈曲筋力が17%増え、最大酸素摂取量も8〜9%上がりました。これらの伸びは、持続的なウォーキングの群より有意に大きいものでした。安静時の収縮期血圧の低下幅も、インターバル群のほうが大きいことが確認されました。

著者らは、加齢に伴う血圧の上昇や太ももの筋力・持久力の低下を防ぐ可能性がある、と控えめにまとめています。

666人の4か月データ(Morikawa 2011)

2011年のMorikawaらの研究では、約65歳の男女666人を対象に4か月のデータが分析されました。参加者を運動前の体力レベル別に3つのグループに分けたところ、すべてのグループで最大酸素摂取量や脚の筋力が上がり、体重、体脂肪率、血圧、血糖値が下がりました。

変化がいちばん大きかったのは、男女とも運動前の体力が低かった群でした。ただしトレーニングをしない対照群を置かない前後比較なので、この数字にはトレーニング以外の影響も混じりえます。体力に自信がない人でも4か月で数値が動いた、という報告として読むのが妥当です。

「20%の法則」と医療費・気分・膝の痛みの報告

能勢氏は JTRC のインタビュー で、5か月続けた結果を「20%の法則」と呼んでいます。体力が最大20%増え、生活習慣病の指標が20%改善し、医療費が20%抑えられた、というまとめです。

同氏が2014年に『体力科学』のワークショップで発表した抄録では、5か月間の定着率が90%以上、筋力などの体力が約10%増加と報告されています。どちらも1本の比較試験の結果ではなく、事業のデータをまとめた報告です。このほか、信州大学は、松本市での調査で、半年間に市民平均医療費の20%に相当する22,901円の医療費が削減されたと報告しています。

また、健康長寿ネットは、うつ指標の値が50%改善した、膝関節痛の症状について50%の人が良くなったと回答した、認知機能の測定値が4%上がった、骨密度が第2〜4腰椎で0.9%、大腿骨頭部で1.0%増えた、といった数値を紹介しています。ただし、どの研究で何人を対象にした結果かはページに書かれていません。

リュックを背負って街なかを歩くウォーキングの参加者たち 写真: Carla Abanes from Malolos City, Philippines / Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0)

海外の研究:2型糖尿病の人を対象にした小規模試験(Karstoft 2013)

海外の研究チームも、2型糖尿病の人を対象に試験をしています。2013年のKarstoftらの研究では、参加者を、運動なしの対照群、「持続的に歩く群」、「インターバルで歩く群」の3つに分けた結果、インターバル群のみで体重と体脂肪が減少し、最大酸素摂取量が16.1%増加しました。平均および最大の血糖値も、インターバル群で有意に低下しました。

各群8〜12人と小さな試験で、1回60分・週5回と日本の標準より運動量が多く、対象も2型糖尿病の人に限られます。比べた相手は、エネルギー消費量をそろえた持続的な歩行です。

2025年には海外で「Japanese walking」として紹介され、TikTok などで話題になりました(保健指導リソースガイド、2025年7月28日)。減量が目的なら、食事とのバランスも含めて体脂肪を落とすための運動の組み立て方を見ておくと、速歩を1週間のどこに入れるか決めやすくなります。

インターバル速歩のアプリ:公式アプリの無料範囲と代替

公式「インターバル速歩」アプリ(能勢博教授監修)

スマートフォンを活用すれば、時間の計測や記録が簡単になります。日本のApp StoreやGoogle Playには、株式会社グラムスリーが提供する公式アプリ「インターバル速歩」があります。能勢博教授が監修し、JTRCが協賛しているアプリです。

2026年9月22日時点でのストア情報によると、App Store版はiPhoneのみ対応(iOS 12.0以降)で、評価は2.9(40件)、最終更新は2025年12月15日です。Google Play版は1万回以上ダウンロードされており、評価3.1(9件、最終更新2025年12月2日)となっています。なお、Android版には地図の描画機能がありません。

9分間の歩行で現在の体力を測定し、個人の能力に合わせた目標を設定してくれます。バックグラウンドでGPSを使用して距離やカロリーを計算するため、スマートフォンのバッテリー消費が早くなる点には注意が必要です。

無料版と会員版(月額990円)の違い

公式アプリは無料でダウンロードできますが、機能に制限があります。グラムスリーのサービス紹介によると、無料版で選べるトレーニング時間は「15分」のみで、過去の運動履歴は1週間分しか見られません。

月額990円の有料会員になると、30分や60分、あるいは自由な時間設定でのトレーニングが可能になります。また、1週間より前の運動履歴、過去4週間のグラフ、AI が作るアドバイスが見られます。なお、App Store の日本版ページにはアプリ内課金の項目が表示されていないため、会員登録の支払い方法は、ストアの表示からは確認できません。

ほかの選択肢:Pacent、Apple Watchのカスタムワークアウト

公式アプリ以外にも選択肢はあります。iOS 17以降で使える「Pacent:インターバル速歩」というアプリは、Appleのヘルスケア機能と連携し、5セットのプログラムを提供しています。ストアでは無料と表示され、アプリ内課金として Premium(月額1,100円または年額7,000円)があります。ストアの説明に JTRC やグラムスリーとの関係の記載はありません。

Apple Watchを持っている人なら、標準の「ワークアウト」アプリが便利です。Apple サポートの手順に従って「カスタムワークアウトを作成する」機能を使えば、ワーク(速歩)と回復(ゆっくり歩き)のインターバルを時間で正確に設定できます。

歩数計アプリの選び方や位置情報ゲームで歩く量を増やす方法など、ほかのツールと組み合わせる手もあります。

アプリがなくてもできる3分の区切り方

もちろん、専用のアプリがなくてもインターバル速歩は実践できます。腕時計を見ながら3分ごとにペースを切り替えるだけです。100円ショップで買えるようなシンプルなキッチンタイマーやストップウォッチをポケットに入れておくのも実用的です。タイマーを3分に設定して鳴るたびに押し直すか、音楽を聴きながら「1曲終わるごとに速さを変える」といった大まかな区切り方でもかまいません。

3分を計るのに使えるアナログのストップウォッチ 写真: Riaz / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

よくある失敗と直し方

速歩が「ややきつい」に届いていない

ありがちなのは、速歩のペースが単なる「少し速い散歩」になってしまうことです。息があがる感覚がないなら、速さが足りていない可能性があります。ハァハァと息があがる程度まで、腕を軽く後ろに引く意識で振ってペースを上げてみてください。

初日から飛ばして続かない

逆に、最初から完璧なフォームと速度を求めて疲れ果ててしまう人もいます。運動を習慣にするための行動科学でも言われる通り、最初はハードルを下げるのが鉄則です。

1日5セットがきつければ、セット数を減らして始め、体が慣れてから増やしていきます。速歩そのものがまだきつい人は、まずは散歩から始める1か月の進め方で歩く習慣をつけてからでも遅くありません。

信号待ちでセットが崩れる

街中を歩いていると、信号待ちで3分のリズムが崩れることがあります。これに神経質になる必要はありません。「大体3分くらい」の感覚で構いません。信号で止まってしまったら、その間は足踏みをするか、次の青信号から再び時間を計り直せば十分です。

花見の季節の井の頭公園を歩く人たち 写真: 運転太郎 / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)

週の合計を数えていない

1日15分以上の速歩を週4日以上という基準を満たすには、週の合計時間を把握しておく必要があります。記憶に頼ると、週の合計は数えにくくなります。カレンダーに歩いたセット数を書き込むか、運動不足解消に使える無料アプリを活用して記録を残しましょう。

始める前に確認したい安全上の注意

医師に相談してから始めたい人

健康長寿ネット(長寿科学振興財団)は、心臓や肺の病気がある人、脳卒中・パーキンソン病・水頭症などの診断を受けたことがある人は、インターバルトレーニングを実施してよいかかかりつけ医と相談するよう記載しています。

厚生労働省の情報シートは、糖尿病がある人で合併症や血糖管理の状況がわからない場合は、かかりつけ医に確認してから運動を始めるよう書いています。

血圧が高い日・膝や腰が痛いとき

厚生労働省の『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』の情報シート(運動を勧める・指導する立場の人向けの資料)は、血圧の目安を次のように示しています。

  • 診察室で180/110mmHg以上、家庭で160/100mmHg以上(III度高血圧):薬で血圧を管理してから運動を始める必要があるため、まず受診する
  • 運動前に測って160/100mmHg以上:散歩程度の軽い運動にとどめる
  • 運動前に測って180/110mmHg以上:運動は控えて休む

同じシートは、運動で悪化する腰痛や膝痛などがある場合、あらかじめ医師に相談し、低い強度・短い時間から始め、患部に負担のかからない運動を選ぶことを挙げています。一方、健康長寿ネットは、運動しないと筋肉の萎縮が進むため、日常的に膝や腰が痛む人も無理のない範囲で取り組むよう勧めています。痛みが悪化するときは、しばらく休む、スピードを落とす、時間を短くするといった対応を挙げています。

すぐに中止すべきサイン

運動中に胸痛・動悸・めまいやふらつき・冷や汗・関節や筋肉の強い痛みなどの異変を感じたら直ちに中止するよう、厚生労働省のe-ヘルスネットは呼びかけています。

インターバル速歩を習慣にするために

記録の習慣と、曜日を決める工夫

運動を長く続けるコツは、自分の頑張りを目に見える形にすることです。目標が「週に速歩60分」とはっきりしているので、毎日の速歩時間を書き足していけば、残りが何分かすぐにわかります。

見た目がかわいい万歩計アプリなどを使って、歩数と一緒に記録を管理するのも良い方法です。また、あらかじめ週の何曜日に歩くかを決めておくと、生活のリズムに組み込みやすくなります。

ほかの運動との組み合わせ

インターバル速歩だけで全身の筋肉が鍛えられるわけではありません。上半身の筋力トレーニングや、リラックス目的のゆっくりとした散歩と組み合わせることで、よりバランスの良い体づくりができます。天気の悪い日は無理に外を歩かず、室内でのストレッチに切り替えるか休みにして、その週の残りの日で速歩の合計が60分に届けば十分です。

よくある質問

インターバル速歩の「速歩」はどのくらいの速さですか?
各自の最大歩行速度の約70%が目安です。体感では「ややキツイとキツイの中間ぐらい」(JTRC)、ハァハァと息があがる程度です。
毎日歩かなくても効果はありますか?
はい。1日15分以上の速歩を週4日以上行うのが基本ですが、平日が忙しい場合は、週末にまとめて速歩の合計を週60分にするやり方でもよい、と能勢博氏は述べています。
インターバル速歩の公式アプリは無料で使えますか?
提供元グラムスリーのサイトによると、無料版で選べるトレーニング時間は15分のみで、履歴は1週間分です。30分・60分・自由な時間の設定や、1週間より前の履歴・4週間のグラフは月額990円の会員向けとされています。

この記事を書いた人

Mei

習慣・宅トレ担当エディター

ZEN LABO のエディター。宅トレと「続け方」を中心に、ゼロから始める人でも無理なく運動を習慣化できる方法を発信しています。